引く手あまたのデータサイエンティスト ってどんな仕事?

引く手あまたのデータサイエンティスト ってどんな仕事?

卒業生が語る。データサイエンティストとは?

IT人材不足の時代到来 

経済産業省は平成28年6月10日、国内IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果を発表。


 経済産業省の調査結果によると、「普及が進むクラウドコンピューティングのほか、ビッグデータやIoT(Internet of Things)、人工知能等のIT関連分野において近年高い注目を集めている先端的な技術・サービス(本調査では「先端IT技術」という。)は、今後の産業界を変革する大きな可能性を有していると考えられており、今後のIT関連市場の拡大・成長の鍵を握るキーワードとしてきわめて重要である。」とあり、情報大は、今後不足が予想される分野を意識し、情報ネットワーク学科では、データサイエンスコースを設置し、データサイエンティストの養成を目指しています。
・マクロな規模でのIT人材(IT企業及びユーザ企業情報システム部門に所属する人材)は、現在は約90万人、不足数は約17万人と推計。今後2019年をピークに人材供給は減少傾向となり、より一層不足数が拡大。
・情報セキュリティ人材は、現在約28万人、不足数は約13万人ですが、2020年には不足数が20万人弱に拡大。
・先端IT人材は、現在約9.7万人、不足数は約1.5万人ですが、2020年には不足数が4.8万人に拡大。
 市場拡大が見込まれるセキュリティ分野の人材は現時点で28.1万人、人工知能などの先端分野は9.7万人と推計。セキュリティで13.2万人、先端分野で1.5万人が不足していると見ており、今後市場が成長するにつれて人材不足も深刻化すると指摘しています。


卒業生の証言
2018年3月 情報ネットワーク学科卒業

宇都 貴裕さん(職場にて)
宇都 貴裕

-現在のどのような仕事をしていますか?
 株式会社 テクノプロ テクノプロデザイン社のソリューション事業部データサイエンス課で働いています。
 テクノプロ・デザイン社は技術系アウトソーシングの会社です。特徴としては、テクノプロ・デザイン社の正社員として、配属先に赴いて業務を行う形や、クライアントからプロジェクトを社内のプロジェクトチームへお任せを頂く「受託・請負」という形等、ニーズに合わせた技術提供を行う「技術ソリューションカンパニー」です。
 私自身は、データサイエンス関連の会社で顧客データなどを扱い、前処理、集計、可視化、分析をする仕事をしています。最近では教育も担当しています。

-仕事の内容について具体的にお願いします。
 分析といってもイメージがつきづらいと思うので2つほど実例を紹介します。1つ目は、ECサイト(通販サイト)のデータを使用し、異なる性質のものが混ざり合った集団から、互いに似た性質を持つものを機械的に分類し、それぞれのグループの特徴の抽出、グループにあった施策を提案しました。
 例えば、商品をカートには入れているが購入に至らないグループに対しては、購入漏れのメール配信、カートに入れた商品で他の顧客が同時に購入している商品のお知らせなどです。2つ目は、顧客データを使用し、会員登録をやめそうな顧客を予測する(離反抑止モデル)の作成です。顧客の属性(年齢、性別など)、購入回数、頻度、金額など様々な特徴を用いて、統計学の知識や、機械的なアルゴリズムを用いて離反しそうな顧客を予測するモデルの作成をしました。
 みなさんに馴染みがあるものでいうと、AmazonなどのECサイトで「おすすめの商品」通称レコメンド機能はイメージし易いかもしれません。

(学生時代 公開講座の講師として1)
(学生時代 公開講座の講師として2)(学生時代 公開講座のサポーターとして)

-いわゆるデータサイエンティストですね。やりがいがあるのでは?
 やりがいはあります。
 よりよいモデルを作成するためにデータを整理したり、特徴を作成したりするのですが、どの特徴がモデルの精度向上に貢献するかわかりません。
 それに、どんなに良い特徴を作成できても、モデルに入れるデータが的外れだとそもそも意味がなかったりするので意外と、前処理が一番大事です。
 着任当初、「データ分析は前処理の時間が8割」と、よく上司からも言われましたが、身をもってそう思います。一見華やかですが、地道な努力も必要な仕事です。

-苦労することもあるとおもいますが、それはそういうところですか?
 そうですね、データサイエンティスト、分析、アナリストの世間一般のイメージはAIでロボットを動かすとかだと思ますが、これは裏側で何千何万件のデータを処理した結果、得られるものになります。
 また、100%予測可能なモデルがクライアントとしては一番良いはずなのに、なかなかそうもいかないところが面白みであり、やりがいに繋がっていると思います。

-大学時代の思い出は?
 大学時代はあまり勉強をしない学生でした。だからこそ大学のうちに勉強しておけばよかったと思うことがたくさんあります。例えば、基本的な統計の知識です。Python、SQL、分析手法を少しでもやっておくと入社のタイミングから戸惑いなくスタートを切りやすいのかなと思います。また、クライアントにプレゼンテーションをする機会も多くあります。その時に役に立ったのが、公開講座での講師の経験です。同じ年齢ぐらいの友人に1対1で教えたりする機会はすぐに作れると思うのですが、1対多数で、幅のある年齢層に対してプレゼンする経験は貴重だったと思います。実際に仕事をしていく中で、自分より年齢が上の人に話す機会はとても多いので、学生のうちに慣れておくとよいと思います。
 是非、公開講座で経験してみてください。

-最後に後輩へのアドバイスをよろしく
 社会人2年目ですが、社会人として一番重要だと思っているのは、コミュニケーション能力です。個人的にはただ会話ができるだけが、コミュニケーション能力だとは思っていません。『相手に伝えたいことを正しく伝えることができる』『相手が伝えたいと思っていることを正しく理解できる』これら双方向のやり取りが成り立ってこそのコミュニケーションです。日ごろから意識してみてください。
 また、IT関連、データサイエンティストを目指している方はコミュニケーション能力のほかに検索力を身に付けて頂くと良いかもしれません。
 業務をするうえで調べることは当たり前です。時には英語の論文を読むこともあります。短時間で必要な情報を抽出できるスキルを身に着けておくと社会人になってから役に立つと思います。

 

 データサイエンスコースは、ビジネスに関わる「情報」、データを分析するための「知識」、データを基にした判断や認識を行う「技術」の3つに分けると、上の図のような関係になっています。
 令和元年度入学生のカリキュラム(授業科目)では、次のような科目を配置して、データサイエンスを学べる環境を整えています。
・統計学
・多変量解析
・データ解析
・データモデリング
・ビジネスプログラミング
・統計プログラミング
・機械学習
・人工知能
・マーケティング論
・消費者行動論
・マーケットリサーチ
・経営分析
・会計学
・計量経済分析 など